今回は、井上雄彦のピアスはどこで読めるかご紹介します。
『ピアス』は、作者井上雄彦氏の代表作『SLAM DUNK』の連載終了後に、スピンオフ作品として発表されました。
この作品はボーイミーツガール物の傑作と呼ばれ、しかも発表された当時は週刊誌に掲載されただけでした。
その後も単行本には未収録だったために、伝説の作品と言われていました。
また、『ピアス』と『SLAM DUNK』との関係も、読者にとっては気になるポイントとなるようですね…。
この作品をどこで読めるのか、あらすじや登場人物、作品の見どころやレビューまで全てお伝えします。
これを読めば、井上雄彦のピアスを思いっきり楽しめますよ!
※注意:記事にはネタバレを含みますので、ご注意ください。
井上雄彦のピアスはどこで読める? Amazonで読めます。
結論からいうと、井上雄彦のピアスは、 Amazonで読むことができます。
井上雄彦のピアスが収録されているのは、集英社が出版した『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE(リソース)』です。
これは、紙のコミックのみの販売となっています。
これは、『SLAM DANK』が映画化された作品『THE FIRST SLAM DUNK』の制作途中で描いたイラストや文章、15,000文字にも及ぶインタビューが含まれた、ファンにはたまらない本です。
新品は1,980円で、中古も取り扱いがあるようです。
中古は、良い状態のものを300円で販売しています。(2024年12月現在)
Amazonで購入の際は、 Amazonアカウントが必要です。
メールアドレスや携帯電話番号と、氏名、パスワードを入力するだけで簡単にアカウントを作成できます。
実は、井上雄彦のピアスを非公式でYouTubeにアップしているアカウントがあるのですが、井上雄彦氏の著作権を守るという観点ではおすすめできません。
また、この非公式のYouTubeの投稿は残念ながら画像が不鮮明です。
井上雄彦ワールドを堪能するには物足らないと感じるので、Amazonでの購入をおすすめします!
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作品のあらすじ・ネタバレ・概要
小学6年生の主人公「りょう」は、海が見える崖の洞窟から海を見続けていました。
洞窟には、3年かけて作りあげた、りょうの秘密基地があります。
ある日、りょうは少女が小さな箱を海に向かって投げているのを見つけます。
見つけた途端、りょうは海に飛び込んでその箱を拾いました。
海から上がったりょうは、いきなり少女の頬を「パン」と張ります。
(海を)「汚すな。」と言い少女に箱を投げつけたのです!
少女も、負けずにやり返し、互いを攻撃し合います。
しばらく続いた争いは、少女が目に涙を浮かべたことで、終わりました。
りょうは、自分以外は誰も入れたことがない秘密基地に、少女を連れて行きます。
少女が海に投げた、リボンのかかった箱の中身は、ピアス。
それは、少女の母が付き合っている男(佐々木さん)からもらったプレゼントのようです。
少女はピアスを眺めながら、複雑な想いを抱えているように見えました。
りょうは、そんな少女を見て、自分が耳にピアスの穴を開ける決心をします。
また、りょうは、少女にこの秘密基地で海を眺め続けている理由や、帰ってこない兄について、話し始めました。
そうしているうちに、なかなか帰宅しない息子を探しに来たりょうの母に見つかってしまい…。
その後、解体された秘密基地に手紙があるのをりょうは見つけます。
それは少女からの手紙。
元気が出てきたという少女の気持ちの変化と、ピアスのことが書かれていました。
あのピアスは、少女は佐々木さんから母へのプレゼントだと誤解していたが違ったということでした。
少女へのプレゼントのピアスだったのです。
手紙の終わりには「あやこ」と書かれていて、少女の名前はあやこだったということが分かりました。
手紙の締めに「りょうくんへ」と書かれているのを見て、りょうは「りょうただよ」と本名を呟くのでした。
主な登場人物
りょう
海沿いの街に住む、小学6年生の少年です。
いつも、たった一人で秘密基地から海を眺めています。
小三の頃、釣りに行ったきり帰らぬ人となった兄に向けた最後の言葉を悔やんでいます。
この『ピアス』のりょうと、井上武彦の『SLAM DUNK』に登場する宮城リョータは、同一人物なのではないか?という意見が非常に多いです。
ラストに自分の名前を「りょうただよ。」と言ったことから、宮城リョータと同じ名前なのでは?と思ってしまいます。
ところが、作者である井上雄彦氏が両作品の関係を明らかにしていないので、読者の解釈に任せられているようです。
りょうの耳のピアスを開ける際の「(バスケットボールの神様と呼ばれている)マイケル・ジョーダンがしてるから オレもする」というセリフが、いかにもバスケットボールが好きな少年らしい言動だと思われています。
また、りょうのピアスの位置が『SLAM DUNK』の宮城リョータと同じ左耳というのも、共通点だというファンの指摘もありました。(注:宮城リョータは、両耳にピアスを付けている場面もあります)
りょうの気持ちの熱い部分と、少し寂しそうな表情が宮城リョータと似ているとも言われる理由かもしれません。
少女
海に小さな箱をを捨てたことで、りょうと出会った小学6年生の少女です。
母の再婚に複雑な想いを持ち、不満を感じています。
少女は、始めは名前が出てきませんでした。
ところが、終盤にりょうに宛てた手紙の最後に「あやこ」と書き、名前を明らかにしています。
あやこと名乗った少女は、井上武彦の『SLAM DUNK』に登場する、湘北高校バスケットボール部マネージャーの彩子と同一人物との説があります。
これも、先に解説したりょうと同じく、読者の解釈に任せられています。
この少女の場合は、両作品の関係性を考えると『SLAM DUNK』の彩子とは少し違うのではないかと思われる部分もあります。
『SLAM DUNK』の彩子は、宮城リョータからの彩子への恋愛感情を分かっているけれど、塩対応です。
また、以前から顔見知りだったような描写も無いようですね。
しかし、ファンからすると、少女あやこ(彩子)はりょう(宮城リョータ)の理解者なので、『ピアス』と『SLAM DUNK』のストーリーが、つながっていて欲しいと願ってしまうことでしょう。
りょうの兄
りょうが、いつも海を眺めているのは、この兄が釣りに行ったまま亡くなってしまったという理由があるようです。
兄からすれば、まだ幼い弟を釣りに連れていくのは無理だと判断したのでしょう。
一方で、りょうは本当は釣りに連れて行ってもらいたかったのに、「もう帰ってくるな!!」と声をかけてしまい、後悔しています。
その場面で兄が振り返る顔を見たきり、りょうは兄と会えなくなります。
りょうの母
息子のりょうが、なかなか帰ってこないから心配して探しに来て、それをきっかけにりょうの秘密基地を封鎖してしまいます。
親ならば、帰ってこない息子を心配して探すのは当然のことですが、秘密基地を無くしてしまうことで、りょうからは反感を買ってしまいます。
少女の母
少女が店のガラス越しに母を見つけます。
再婚相手の佐々木さんと共にいる場面のみ登場します。
佐々木さんと仲睦まじそうです。
佐々木さん
少女の母の再婚相手です。
優しく包容力のありそうな男性に見受けられます。
作品の見どころ
細やかな心の描写
『SLAM DUNK』の動きが激しいバスケの試合シーンとは違い、本作品では静かな情景と細やかな心の描写が続きます。
りょうが兄を想い、海をじっと眺める場面は、波の音が聴こえてくるようです。
海辺や崖も丁寧に描かれていて、臨場感があります。
秘密基地に転がっているバスケットボールが、りょうがバスケットボールを好きだということを読者にほのめかしています。
言葉は少なく、表情のみの場面も多く、余白の中に読者は多くのことを感じられるような作品です。
読んでいるうちに、りょうと少女の感情が浮かび上がっていきます。
ピアスをする決意と成長
題名『ピアス』の通りピアスが登場しますが、りょうがピアスの穴を開ける場面は読んでいるこちらも痛みを感じるかのようです。
りょうはピアスの穴を開ける決意をして、少女がりょうの決意を受け止めます。
話しているうちに、互いに傷ついた心を癒します。
39ページしかない短いストーリーの中に、若者と言うにはまだ幼い二人の輝きや心の成長が込められていて、ぜひ読んでいただきたい作品です。
感想・レビュー・口コミ・評価
井上雄彦のピアスに関する感想はとても好意的なものが多いです。
収録されている本が『SLAM DUNK』の映画化された『THE FIRST SLAM DUNK』の内容でもあり、映画の感想を含めた熱いレビューも見受けられます。
映画を観て感動したんだが、なぜ原作のままで映画を作ってくれなかったのかと言う気持ちが残っていた。だがこれを読んで作者の後悔やもっと見せたかった部分がやっと映画で出すことが出来たんだと知って腑に落ちた。
キャラとしてマンガではあまり宮城リョータに対して深掘りされていなくてその後のピアスで追加した情報を出したという所を考えても読んでおく価値はある。近頃は原作者の意思が入ってない事が多いから(アニメ化やドラマ化で)そう言う部分では井上先生がガッツリ手を入れてるから待たされたスラムダンクの最終回がやっと観れた感動が大きかった。
これを読んでから映画を観たら余計に泣けると想う。映画を観てモヤッと↓方は特に読んでみて。
Amazonより引用
家でいつでも見れるのは最高過ぎます。もう10回以上みてます!
Amazonより引用
作者は井上雄彦氏
井上雄彦(いのうえ たけひこ)氏は、1967年に鹿児島で生まれた漫画家です。
子どもの頃から絵を描くことが好きだった井上氏は、漫画を書き続けていました。
1987年、20歳の井上氏は、週刊少年ジャンプに投稿した作品がきっかけで漫画家になる決意をし、上京します。
1990年に発表した『SLAM DANK』は大ヒット作品で、バスケットボールブームの火付け役となり、第40回小学館漫画賞を受賞しました。
他の代表作としては、1998年に発表した『バガボンド』や、1999年に発表した『リアル』などがあります。
井上雄彦氏は多くのファンの心を捉える作品を描いてきましたが、ファンの言葉もまた、井上氏を励ましていたようです。
毎週の連載をしていた頃、編集部に送られてくる読者からの感想のお手紙を読むことが自分にとって一番の励みでした。”
井上雄彦公式サイトより引用
作品に対しても、ファンに対しても、真摯に向き合う漫画家だと言えるでしょう。